AGA治療の二大巨頭とも言えるフィナステリドとミノキシジルですが、これらは作用機序が全く異なる薬剤であり、それに伴って発生する初期脱毛の特徴や程度にも違いがあることを理解しておくことは、治療中の不安を軽減するために非常に役立ちます。まず、フィナステリド(およびデュタステリド)は「守りの薬」とも呼ばれ、AGAの原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制することで、ヘアサイクルにおける成長期の短縮を防ぎ、抜け毛を減らすことを主目的としていますが、この薬剤の服用開始時にも初期脱毛は見られます。フィナステリドによる初期脱毛は、乱れていたヘアサイクルが正常化に向かう過程で、休止期にあった毛包が成長期へ移行する際に起こりますが、一般的にその程度は比較的穏やかであり、患者によっては全く気付かないレベルであることも少なくありません。一方、ミノキシジルは「攻めの薬」と呼ばれ、血管を拡張させ毛乳頭細胞を直接刺激することで、休止期にある毛包を強制的に成長期へと叩き起こし、強力に発毛を促進する作用を持っています。このミノキシジル、特に内服薬(ミノキシジルタブレット)を使用した場合の初期脱毛は、フィナステリド単体の場合と比較して、より早期に、かつ激しく現れる傾向があります。これはミノキシジルの発毛促進力が極めて強力であるため、多数の休止期毛が一気に成長期へと移行し、それに伴って大量の古い髪が短期間で押し出されるためです。具体的には、ミノキシジル内服開始後2週間程度から急激に抜け毛が増え、洗髪時やドライヤー時に驚くほどの量の髪が抜けることがありますが、これは裏を返せば、それだけ多くの毛包が薬に反応して新しい髪を作り始めているという強力な証拠でもあります。外用薬(塗り薬)のミノキシジルの場合は、内服薬に比べれば成分の血中移行量が少ないため、初期脱毛の程度もマイルドになる傾向がありますが、それでもやはり一定数の患者で抜け毛の増加が確認されています。どちらの薬剤を使用する場合でも、初期脱毛は薬が効いている証拠であるという点では共通しており、この時期を耐え抜けば発毛というリターンが得られることは間違いありませんが、特にミノキシジル内服薬を併用する強力な治療を行う場合は、それ相応の「生え変わりの嵐」が来ることを覚悟しておく必要があります。医師と相談の上、自分の性格やライフスタイルに合わせて、どの程度の初期脱毛なら許容できるかを考慮しつつ治療方針を決定することも、治療を継続するための賢い選択と言えるでしょう。