AGA治療の入り口として多くのクリニックが実施している「無料カウンセリング」ですが、これは患者にとって治療内容や費用を知る絶好の機会であると同時に、クリニック側にとっては顧客を獲得するための営業の場でもあるため、時には熱心すぎる勧誘に遭遇し、断りきれずに不本意な高額契約を結んでしまうというトラブルも少なくありません。このような事態を避け、納得のいく契約をするためには、カウンセリングの流れにおける「落とし穴」を知り、身を守るためのポイントを押さえておく必要があります。まず、カウンセリングルームという密室で、プロのカウンセラーと一対一になるという状況自体が、心理的に「断りにくい」雰囲気を作り出すことを自覚しましょう。彼らは話術のプロであり、「今すぐ始めないと手遅れになる」「今日契約すれば割引がある」「モニター価格は今日だけ」といった言葉で、患者の不安と射幸心を巧みに刺激し、即決を迫ってくることがありますが、医療行為において「今日決断しなければならない」緊急性は(命に関わる場合を除き)基本的には存在しません。強引な勧誘を避ける最大のポイントは、事前に「今日は話を聞くだけで、契約はしません」あるいは「一度持ち帰って家族と相談します」という意思を明確に持っておくことです。そして、カウンセリングの冒頭でその旨を伝えてしまうのも有効な手です。「今日は情報収集のために来ました」と宣言している患者に対して、無理なクロージングをかけてくるクリニックは良心的とは言えませんし、それでもしつこく迫ってくるようなら、その時点でそのクリニックは避けた方が無難だという判断材料になります。また、提示された見積もりが想定よりも高額だった場合(例えば、年間100万円を超えるような医療ローンを提案された場合など)は、その場でサインをするのは絶対に避けるべきです。AGA治療はフィナステリドなどの内服薬だけであれば月数千円から始められるものであり、最初から高額なオプション(メソセラピーなど)をセットにした契約を必須とするような提案には警戒が必要です。もし雰囲気に流されて契約してしまった場合でも、諦める必要はありません。AGA治療の契約(特に期間が1ヶ月を超え、金額が5万円を超えるような継続的な役務提供契約の場合)は、特定商取引法に基づくクーリングオフの対象となる可能性があります(ただし、医療機関での治療契約がすべて対象となるわけではなく、美容医療の契約形態や条件によるため確認が必要です。一般的に、来院してその場で契約した化粧品や薬の購入などはクーリングオフ対象外となることが多いですが、長期コース契約などは中途解約やクーリングオフが適用されるケースもあります)。とはいえ、解約手続きは精神的にも労力的にも負担がかかるため、やはり最初から「即決しない」ことが最善の防御策です。