AGA治療は数年単位で続く長期プロジェクトであるため、その間に転勤や引っ越し、あるいは現在のクリニックへの不満(効果が出ない、対応が悪い、通いにくいなど)から、途中でクリニックを変更(転院)せざるを得ない状況になることは珍しくありませんが、この移行プロセスを適切に行わないと、治療が中断してリバウンドを起こしたり、無駄な初期費用が再びかかったりと、様々なデメリットが生じる可能性があります。スムーズな転院を行うための最初の手順は、現在通っているクリニックへの報告とデータの引き継ぎです。多くの患者が気まずさから黙ってフェードアウトしてしまいますが、これは得策ではありません。正直に「引っ越しのため転院したい」と伝えれば、良心的なクリニックであればこれまでの治療経過(使用していた薬の種類、濃度、血液検査データ、治療期間中の変化など)を記した紹介状や診療情報提供書を作成してくれる場合があります(有料の場合もあります)。これがあれば、次のクリニックでの初診時に改めてゼロから説明する必要がなく、また重複する検査を省略できる可能性もあり、スムーズかつ経済的に治療を継続できます。次に重要なのが、転院先のクリニック選びと予約のタイミングです。現在のクリニックで処方された薬が切れるギリギリになってから新しいクリニックを探し始めると、予約が取れなかったり、初診の手続きに時間がかかったりして、薬を飲めない「空白期間」ができてしまうリスクがあります。AGA治療において数日でも服薬をストップすることは血中濃度を下げ、脱毛スイッチを入れてしまう原因になりかねないため、引っ越しの1ヶ月前、遅くとも2週間前には新しいクリニックのリサーチを始め、薬が切れる前に初診の予約を入れておくことが鉄則です。また、クリニックによって取り扱っている薬のメーカーや料金体系、治療方針(ジェネリック推奨か先発品推奨かなど)が異なるため、現在と同じ治療を継続できるか、費用が大きく変わらないかを事前に電話やメールで確認しておくと安心です。もし全国展開している大手AGAクリニックに通っている場合は、転居先のエリアに分院があるかどうかを確認しましょう。系列院であればカルテやデータを共有していることが多く、簡単な手続きだけで転院が可能で、初診料などもかからずにこれまで通りの治療を継続できるケースがほとんどです。これが大手チェーンクリニックを選ぶ一つの大きなメリットでもあります。一方、個人クリニックから別の個人クリニックへ移る場合は、基本的に新規扱いとなるため、再び初診料や検査料がかかることを覚悟しておく必要があります。
転勤や引っ越しでクリニックを変える際のスムーズな移行手順