薄毛や抜け毛に悩み始めると、多くの男性は「自分はAGA(男性型脱毛症)ではないか」と考えがちです。しかし、髪が抜ける原因はAGAだけに限られたものではありません。専門のクリニックや皮膚科で「AGAではない」と診断された場合、他の脱毛症の可能性を考える必要があります。ここでは、AGA以外に考えられる代表的な脱毛症について解説します。まず「円形脱毛症」が挙げられます。これは自己免疫疾患の一種と考えられており、毛根組織を異物と誤認して攻撃してしまうことで、円形や楕円形に髪が突然抜け落ちる症状です。一つだけでなく複数箇所にできたり、頭部全体に広がったりすることもあります。次に「脂漏性脱毛症」です。これは、頭皮の皮脂が過剰に分泌されることで、常在菌であるマラセチア菌などが異常繁殖し、頭皮に炎症を引き起こすものです。その炎症が毛根にダメージを与え、抜け毛に繋がります。頭皮の赤み、かゆみ、ベタついたフケなどが特徴的なサインです。また、生活習慣に起因するものとして「牽引性脱毛症」があります。これは、ポニーテールのように髪を強く引っ張る髪型を長時間続けることで、毛根に物理的な負担がかかり、生え際や分け目の髪が抜けてしまう状態です。男性ではあまり多くありませんが、特定の髪型を続けている場合は注意が必要です。さらに「休止期脱毛症」という状態もあります。これは、過度なストレスや栄養障害、大病、出産など、体に大きな負担がかかった数ヶ月後に、多くの髪が一斉に休止期に入ってしまい、ごっそりと抜け落ちる現象です。これらの脱毛症は、それぞれ原因が異なるため、対処法も全く違います。自己判断でAGA治療薬などを使用しても効果がないばかりか、症状を悪化させる可能性すらあります。薄毛に悩んだら、まずは専門医による正確な診断を受けることが、改善への最も確実な一歩となるのです。