夫の様子が少しおかしいと感じ始めたのは、数ヶ月前のことでした。洗面所の棚の奥に、見慣れない海外の薬のパッケージが隠されているのを見つけてしまったのです。問い詰めると、夫は気まずそうに、薄毛を気にして海外からAGAの薬を個人輸入していることを白状しました。少しでも安く治療したかった、心配をかけたくなかった、と。その気持ちは痛いほどわかりました。しかし、妻として、そして彼の健康を誰よりも願うパートナーとして、私の心は不安でいっぱいになりました。その薬は本当に安全なのだろうか。医師の診察も受けずに飲んで、体に悪い影響はないのだろうか。インターネットで個人輸入のリスクを調べれば調べるほど、偽造薬の存在や重篤な副作用の危険性が目に入り、夜も眠れなくなりました。もし夫の体に何かあったら、誰が責任を取ってくれるのだろう。公的な救済制度も使えないと知り、私たちは大きなリスクの上に成り立った、脆い希望にすがっていたのだと気づきました。私は夫と真剣に話し合いました。彼のコンプレックスを軽視するつもりはないこと、しかし、何よりも彼の健康が大切であることを伝えました。目先の安さのために、将来の健康を危険に晒すのは間違っている、と。幸い、夫も私の言葉を理解してくれました。二人でAGAの専門クリニックを探し、カウンセリングの予約を入れました。医師から直接話を聞き、正規の薬を処方してもらったときの夫の安堵した表情は、今でも忘れられません。AGAの悩みは一人で抱え込まず、専門家と、そして最も身近な家族と共有することが、安全で確実な治療への第一歩なのだと、この経験を通じて心から感じています。