僕がAGAクリニックのオンライン診療を選んだ理由
気がつけば、部屋の隅に落ちている自分の髪の毛を、無意識に探している自分がいた。リモートワーク中心の生活になり、人と会う機会は減ったものの、ウェブ会議の画面に映る自分の生え際が後退していく様子は、はっきりと分かった。何とかしなければ。そう思っても、いざクリニックに足を運ぶとなると、様々なハードルが僕の前に立ちはだかった。まず、単純に面倒くさい。仕事の合間に時間を作って、電車に乗ってクリニックまで行く。それだけで一日がかりのイベントになってしまう。そして、何よりも人目が気になった。クリニックの看板の下をくぐるところを、誰かに見られたらどうしよう。待合室で他の患者さんと顔を合わせるのも気まずい。そんな、今思えば小さなプライドや見栄が、僕の行動を鈍らせていた。そんな時、インターネットで見つけたのが「AGAクリニックのオンライン診療」だった。スマホ一つで、自宅にいながら医師の診察が受けられる。薬も自宅に郵送してくれる。これだ、と思った。僕が求めていたのは、まさにこの手軽さと匿名性だった。予約した当日、僕は自分の部屋で、パソコンの画面越しに医師と向き合った。最初は緊張したが、医師は僕の悩みを真摯に聞いてくれ、マイクロスコープの代わりに僕がスマホで撮影した頭部の写真を丁寧に確認しながら、治療方針を説明してくれた。対面ではないことへの不安は、その丁寧なやり取りの中で、すぐに消えていった。薬が自宅に届いた時、僕は新しい一歩を踏み出せたことに、静かな高揚感を覚えた。誰にも知られることなく、自分のペースで始められる。オンライン診療は、僕のような臆病で面倒くさがりな人間にとって、薄毛というコンプレックスと向き合うための、唯一無二の扉だったのだ。