AGA治療の二大巨頭とも言えるミノキシジルとフィナステリドですが、それぞれの作用機序の違いにより、初期脱毛の現れ方にも若干の違いがあると言われています。まずフィナステリド(またはデュタステリド)は、ヘアサイクルを乱すDHTの生成を抑制する「守りの薬」です。抜け毛を防ぎ、ヘアサイクルを正常化させる過程で、すでに休止期に入っていた毛髪が抜けるため初期脱毛が起こりますが、その反応は比較的穏やかである場合が多いです。期間も短めで、開始から数週間で収束するケースもよく見られます。一方、ミノキシジルは毛母細胞に直接働きかけ、血流を改善して発毛を促す「攻めの薬」です。強力な発毛促進作用があるため、休止期の毛髪を一気に成長期へと押し上げる力が強く、その分、初期脱毛も激しくなる傾向があります。特に内服薬(ミノキシジルタブレット)を使用した場合、外用薬よりも全身への吸収率が高いため、初期脱毛が顕著に現れることが多く、患者さんが驚いてしまうことも少なくありません。「どっさり抜ける」という表現が使われるのは、ミノキシジル使用時の方が多いかもしれません。しかし、これは裏を返せば、ミノキシジルの発毛力がそれだけ強力であるという証拠でもあります。両方の薬を併用している場合は、それぞれの作用が相まって、よりはっきりとした初期脱毛が起きる可能性があります。どちらの薬を使用しているにせよ、初期脱毛は薬が効き始めたサインであることに変わりはありません。もしミノキシジルを使用していてあまりに抜け毛が激しく不安な場合は、一時的に濃度を下げるか、医師に相談して用量を調整することも可能です。それぞれの薬の特性を理解し、自分の症状に合わせた対処を行うことが重要です。辛い初期脱毛の期間を耐え忍んでいる患者さんにとって、「いつ終わるのか」というゴール地点の兆候を知ることは大きな希望となります。初期脱毛の終わりは、ある日突然ピタリと止まることもあれば、徐々に抜け毛の量が減っていくこともあります。一般的な兆候としては、シャンプー時の抜け毛の本数が治療前と同じくらい、あるいはそれ以下に戻ること、枕につく抜け毛が減ることなどが挙げられます。また、髪の手触りが変わり、根本にコシが出てきたように感じることも、ヘアサイクルが改善されつつあるサインです。初期脱毛が収束に向かうと、次はいよいよ「発毛」のサインが現れ始めます。最初に見られる変化は、生え際や頭頂部の地肌に「産毛」が生えてくることです。鏡に顔を近づけてよく観察すると、これまでツルツルだった部分に、短く細い、色の薄い毛が生えているのが確認できるでしょう。また、指の腹で頭皮を触った時に、チクチクとした感触(短い毛が生えてきている感触)があるのも良い兆候です。マイクロスコープで見ればより確実に分かりますが、肉眼でも日々の観察で変化を感じ取ることができます。さらに、おでこの生え際にニキビのようなものができることがありますが、これは新しい毛が皮膚を突き破って出てくる際の好転反応である場合もあります。