三十代半ばにして頭頂部の薄さが気になり始め医師からAGAの診断を受けた私は薬による治療を開始すると同時に「身体の内側からも変えなければ根本的な解決にはならない」と一念発起しそれまでの荒れ果てた食生活を抜本的に見直す食事改善プロジェクトを一人で開始することにしました。独身一人暮らしの私はそれまで朝は抜き昼は社食のラーメンやカレー夜はコンビニ弁当に缶ビールという典型的な不健康生活を送っていましたがまずは自炊を基本とすることに決めスーパーで食材を選ぶ基準を「安いか旨いか」から「髪に良いか」へと大転換させました。朝食は必ず摂るようにし納豆卵かけご飯に味噌汁という和食の定番スタイルを固定化することで良質な植物性タンパク質と発酵食品を毎朝チャージする習慣をつけました。昼食は外食を避けて妻ならぬ自分自身で作った「育毛弁当」を持参することにし中身は鶏胸肉のソテーやブロッコリー卵焼きひじきの煮物など地味ながらもタンパク質とビタミンミネラルを意識した構成にしましたが最初は同僚にからかわれることもありましたが「これは髪のためだ」と心の中で唱え続けました。夜は仕事の付き合いでの飲み会も極力減らし自宅で亜鉛豊富な牡蠣のオイル漬けやレバニラ炒めなどを自作して晩酌のビールも糖質の少ないハイボールに変更し量も一日一杯までと厳しく制限しました。最も辛かったのは大好きだった深夜のカップラーメンやお菓子を完全に断つことであり最初の数週間は禁断症状のようにジャンクフードへの渇望に襲われましたがそんな時は素焼きのアーモンドやカカオ含有率の高いチョコレートを少量かじって気を紛らわせました。また水を一日二リットル飲むことも意識し体内の循環を良くして老廃物を排出することを心がけました。このようなストイックな生活を半年ほど続けた結果体重は五キロ落ちて肌艶が良くなり肝心の髪の毛に関しては薬の効果もあるとは思いますが以前のようなへなへなとした頼りない感触ではなく根元から立ち上がるようなコシが出てきたことを実感し美容師さんにも「最近髪質が変わりましたね」と言われるまでになりました。もちろん食事だけでAGAが完治したわけではありませんが食事改善を通じて得られた健康的な身体と自信は治療を継続する上での大きなモチベーションとなりましたし何より自分の身体を大切に扱うという意識が芽生えたことが最大の収穫でした。食事改善は薬のように即効性はありませんし手間もかかりますが毎日三回必ず訪れる「食べる」という行為を育毛のチャンスに変えることができる最強の習慣であり私の記録が示すように継続すれば必ず身体は応えてくれるのです。
食事改善でAGAに挑んだ男の記録